研究員NOW!!

研究員 NOW!! No.4 ~ 長期研修を終えて ~

 「問題解決学習」や「知の構造化」の研究のエキスパートである二人の教授に指導をしていただきました。早稲田大学の藤井千春氏からは、研究の要となる情動を引き起こすための学習過程の工夫や子どもと出合わせる教材(企業や人物)について、國學院大學の田村学氏からは、思考ツールの使い方や、それを生かした深い学びについて、助言いただき、忘れられない時間となりました。
 また私は、長期休業中に 、2学期実践に向けて、キョーラク株式会社・愛知トヨタ自動車株式会社・トヨタ会館・産業技術記念館など、様々な場所に取材に行きました。現地でしか見聞きできない情報や思いと出合い、足で稼ぐことの大切さを実感しました。【中小田井小 甲斐 俊晃】

 上智大学奈須正裕氏 、広島大学深谷達史氏 、鳴門教育大学梅津正美氏を訪問し、個別最適な学びの進め方や社会科学習における主体的に学習に取り組む態度の育成について学びました。 2学期実践に向けて、 ① 教師が学びの進め方や目的を子どもに情報開示すること、 ② 自己調整につながる学習問題を設定すること、 ③ 主体的な探究活動になるように調べる目的をはっきりさせることを教えていただきました。学習指導要領作成に携わった研究者の方々から直接指導を受けることができ、大変有意義な時間でした。 【野田小 浅井 義人】

 広島修道大学の永田成文氏と、岡山大学の川田力氏を訪問させていただき、結び付けシートの作成方法や使い方について指導をしていただきました。また、評価項目についても、社会の課題について深く考えている児童の姿を評価できるよう、修正するとよいと指導 をしていただきました。自分が参考にしている著書の執筆者に会い、自分の研究について直接指導をしていただいたり、最新の動向について伺ったりすることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました 。また、訪問先で自分の研究に精通している有識者の方を紹介していただくこともあり、人と人とのつながりを実感することができました。 【太子小 野田 裕磨】

 神戸女子大学の佐藤浩樹氏と筑波大学附属小学校の由井薗健氏を訪問しました。地図の活用方法や話合い活動を行う際の手立てなど、教科の指導に関することや今日的な教育課題である「個別最適な学びの推進」に関わることを教えていただきました。また、長年の教員としての経験を踏まえて、学校運営・学級経営に関することや名古屋市と他地域との入試方法や部活動への取組の違いについて意見交換をすることができました 。
 そして、近畿地方や関東地方の教材研究のために訪問するとよい施設を教えていただき、教材研究につなげることができ、とても貴重な機会となりました。 【 港南中 服部 宏治 】

 長期研修では、A日程とB日程の両方に行かせていただきました。特にB日程では、筑波大学附属小学校の梅澤真一 氏を訪問しました。普段読んでいる著書の先生の授業を間近で見ることができて、「百聞は一見に如かず」という言葉を実感しました。本研究に関わる「価値判断」についての授業では、子どもたちの考えは揺さぶられ、教師や友達との対話の中で、子どもが判断する様子を見ることができました。研究会にも誘っていただき、他の大学の教授とも知り合いになることができて、全国の社会科を志す新しい仲間、つながりができて、私にとってとても貴重な体験となりました。 【楠小 岡田 健吾】

 大阪教育大学の峯明秀氏、白百合女子大学の中田正弘氏、富山大学の岡﨑誠司氏を訪問しました。1学期授業研究の課題を踏まえ、子どもの追究意欲を高める学習問題のつくり方や資料の提示方法、子どもの主体性を生かした思考の流れの組み立て方などについてご助言いただきました。特に、子どもに提示する資料について、指導者は教科書レベルに留まらない知識を身に付けておくことが大切であると、熱くお話しいただきました。自分もお世話になった三人に負けない熱量をもって、今後の教育研究を進めていきたいと思います。 【小碓小 伊藤 淳】

研究員 NOW!! No.3 ~ 私たちの第一次授業研究 ~

単元「米づくりのさかんな地域」
 学習問題を解決するための調べ活動の中で、お米マイスターの方にも話を聞いたり、質問をしたりして、工夫や努力を捉えました。また、まだまだ課題がある現状も捉え、新たな学習問題「米づくりをパワーアップする方法を考えよう」をつくり、米づくりの発展について考えました。多くの子どもたちは、調べを進めたり、情報を共有したりする中で、「米づくりを何とかしたい」という思いをもちました。今後は、子どもたちの思いを共有するための問いや活動を改善していき、2学期も子どもが楽しく主体的に学べる授業を目指します。
【中小田井小 甲斐 俊晃】
授業研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/7wc94tn96nys7ua/07_中小田井小 甲斐俊晃.pdf?dl=0)

単元「天皇中心の国づくり」
 学習問題「聖徳太子と中大兄皇子はどのように天皇中心の国づくりを進めたのか」を解決するために「国を治めるきまり」「仏教の広がり」「外国とのつながり」を調べることに設定しました。「調べる」段階において、学級で共有した学習目標をルーブリックにまとめ、学習計画を個々に立て、調べ活動に取り組みました。子どもが自己調整をしながら学習問題の解決をしていくためには、予想したことや調べることを常に意識させること、学習方法を具体的に示すことが必要であることが分かりました。ルーブリックの内容を改善し、子どもが自ら学びを進められるようにしていきます。 【野田小 浅井 義人】
授業研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/ylzgamkyei25kq5/08_野田小 浅井義人.pdf?dl=0)

単元「九州地方」
 「外国人に九州地方の魅力と課題を伝えよう」という探求型の学習課題を基に、各県の共通点・相違点から九州地方の特色を捉えました。生徒一人一人が自分の進めるペースに幅をもたせて活動したり、ロイロノートを活用して、友達と情報を共有したりしながら九州地方について学びました。2学期も社会科が得意な生徒も苦手な生徒も自分のペースで学習したり、アドバイスをし合ったりする中で、地域的特色について考えられる授業を目指していきます。 【港南中 服部 宏治】
授業研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/q3tbrvp4728bnn6/11_港南中 服部宏治.pdf?dl=0)

単元「子育て支援の願いを実現する政治」
 名古屋市の子育て支援の様子を伝えるため、758キッズステーションを取り上げ、子育ての課題やその取組について捉えていきました。単元の最後には、これまで学習してきた子育ての課題とその取組を、SDGsの目標と結び付けながら、これからの社会について考えることができました。2学期は、より主体的にこれからの社会を考えられるような授業展開にしていきます。よりよい社会の実現に向けて、自己の関わりを考えられる児童が育つよう、今後も実践に磨きをかけていきたいと思います。 【太子小 野田 裕磨】
授業研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/j2ltwft0e1amx6a/10_太子小 野田裕磨.pdf?dl=0)

単元「米づくりのさかんな地域」
 学習問題「日本の農業の課題を解決するためにはどのような取組をするとよいのだろうか」をつくり、「第 6 次産業」「地産地消」「農業の企業化」「IT 技術の活用」について個別で調べ学習を行いました。「社会の課題の解決策を追究する段階」において、調べたことや考えたことを一覧表の形式で記述させ、メリット・デメリットを検討するスクリーニングセッションを行うことで、解決策のメリット・デメリットと様々な立場に与える影響について整理してまとめる上で有効であることが分かりました。2学期も社会の課題の解決策を考える子どもの育成を目指します。【楠小 岡田 健吾】
授業研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/sl3f3zc7yuuocd4/06_楠小 岡田健吾.pdf?dl=0)

単元「武士の世の中へ」
 子どもが多様な疑問を見いだすことができるようにするために、時間経過に着目させる方法で二つの資料を提示しました。また、一人一人がもった疑問を出し合い、出来事や人々の働きなどに分類してから、解決に向けて何を調べていけばよいのか考えることで、単元のねらいに迫る学習問題を立てました。しかし、今回提示した資料では、武士と貴族との関係の変化を捉えにくく、子どもは多様な疑問を見いだすことができませんでした。 第2次授業研究に向けて、これから始まる夏休み期間では、子どもが「えーっ!」「何でだろう?」と思わず言ってしまうような資料提示ができるよう、研究を進めていきたいと思います。【小碓小 伊藤 淳】
授業研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/2n9sjv6002mby0x/09_小碓小 伊藤淳.pdf?dl=0)

研究員 NOW!! No.2 ~ 研究計画書が完成しました ~

 研究テーマ「産業の発展を考えようとする児童」とは、産業の現状のよさや課題を基に、産業の発展に関心をもち、自分なりに考えようとする児童です。そのためには、産業に携わる人との関わりの中で、「〇〇さんが困っていることを解決したい」という思いを引き出すことが必要です。そこで、産業に携わる人と直接対話しながら、調べ活動を進めます。また、産業の発展について考える活動の際には、現状を視点ごとに整理し、自分の考えをもつことができるようにすることが必要です。そこで、思考ツールで現状を整理し、それを基に、改善策について話し合うことができるようにします。
【中小田井小 甲斐 俊晃】
計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/ylmvgw2wgz62mh5/07_甲斐研究員.pdf?dl=0)

 「自己調整しながら学習問題の解決を図ろうとする子どもが育つ社会科学習」を主題に研究を進めます。自らの学習を振り返り、学習状況を把握し、学習問題の解決に向けて調べることや考えることを見いだしながら学習を進めることができる子どもを育てたいと考えています。
 社会科の基本的な学習過程「つかむ」「調べる」「まとめる」の、特に「調べる」において、自己調整の視点を取り入れ、ルーブリックを基に自己評価を行い、次の学習に向けてよい点を生かそうとしたり、問題点を改善したりしながら調べ活動を進めることができるようにしていきます。
【野田小 浅井 義人】
研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/dv6uivw91qk8n91/08_浅井研究員.pdf?dl=0)

 「地域的特色を考えることができる生徒を育てる社会科学習」を主題として、「自然環境」や「産業」などの視点をもって、各県の共通点や相違点から、社会的事象や人々の生活への影響を考えることができるように研究を進めています。「外国人に〇〇地方の魅力と課題を伝えよう」という探究型の学習課題を基に、調べ活動や話合い活動を進めることで、社会科が苦手・嫌いという生徒も学習したことを生かして、地域的特色を考えることができるようにしていきます。
【港南中 服部 宏治】
研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/nm4x1h6xx09ma9l/11_服部研究員.pdf?dl=0)

 「よりよい社会の実現に向けて自己の関わり方を考える児童が育つ社会科学習」をテーマに、研究を進めています。単元で学習する社会の課題を SDGs17 の目標と結び付け、それに対する人々の取組や、達成度、将来の社会の在り方を基に、子どもたちが自分ごととして、解決策を考えるきっかけをつくります。単元の最後には、達成度を高めるために、誰がどのようにするとよいのかを話し合うことで、社会との関わり方を考えようとする態度を引き出します。
【太子小 野田 裕磨】
研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/yzm2idl2jvmm0mz/10_野田研究員.pdf?dl=0)

 「社会の課題の解決策を考える子どもが育つ社会科学習」をテーマに、子どもが理由を明確にして社会の課題に対する効果的な解決策を選択・判断することができるように研究を進めています。解決策について、調べて得た多様な情報から必要なことを見いだすことができるようにするために、誰にとってのメリット・デメリットなのかを検討する活動を行います。そして、整理してまとめたものを基に、複数の解決策を比較し、効果的な解決策を選択・判断します。異なる解決策を選んだ子ども同士で意見交流をすることで、より多くの解決策を比較し、解決策を選択・判断することができるようにします。
【楠小 岡田 健吾】
 研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/v04brakf650c4oy/06_岡田研究員.pdf?dl=0)

 私は「子どもの追究意欲が高まる社会科学習」を目指して研究を進めています。実践予定の歴史学習においては、まず、澤井陽介氏の著書にある「トンネル型」の事象提示により、時代の変化の要因に関する疑問を一人一人が見いだすことができるようにします。しかし、一人一人が見いだした疑問は思い付きに近く、そのまま調べ始めても単元のねらいには到達できません。そこで、一人一人が見いだした疑問を学級全体で共有し、類型化する話合いを通して、単元のねらいに迫る学習問題を一人一人が立てることができるようにします。問題解決学習において最も重要な「つかむ」段階において、どの子どもからも「この学習問題を解決したい」という追究意欲を高めることができるようにしていきます。
【小碓小 伊藤 淳】
研究計画書はこちら→(https://www.dropbox.com/s/tbniiys55le6mhr/09_伊藤研究員.pdf?dl=0)